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渡辺宙明 メモリアル・コンサート
23.10.1 東京文化会館

音楽監督・指揮/渡辺俊幸

出演/堀江美都子 串田アキラ MoJo 宮内タカユキ 中川翔子
司会/中川翔子 渡辺俊幸

コンサートマスター/工藤春彦
演奏/オーケストラ・トリプティーク 
   Si.竹蓋彩花 key.徳永洋明 G.林利通 Ba.山本昌史 Dr.伊藤史朗 Pi.藤井麻理
コーラス/ヒーロー・コーラス(加藤茜 岡崎理恵 菅沼安佐代 西本文子 三好駿 根岸一郎 篠嵜利雄 阿部大輔 中野広 植田昌史)



2022年6月23日に96歳でご逝去された作曲家の渡辺宙明先生。
1953年より、ラジオドラマ「アトムボーイ」の音楽で作曲家としてデビュー。
その後映画音楽を数多く作られ、1972年からはアニメ「マジンガーZ」、特撮「人造人間キカイダー」をはじめとして
アニメではロボット、スポーツ、ファミリー向けなど幅広いジャンルの作品、
特撮では石ノ森章太郎先生原作作品、初期のスーパー戦隊シリーズ、宇宙刑事シリーズからはじまるメタルヒーローシリーズ、
ゲームではスーパーロボット大戦シリーズからアイドルマスターシリーズなど
数々のテレビまんがの音楽や歌を幅広く手がけられていました。

ファンからは宙明先生-(ちゅうめいせんせい)という愛称で呼ばれて親しまれており、
革新的な音楽への追求から生まれた高揚感と哀愁を併せ持った独特で不世出な旋律は、
"宙明節"(ちゅうめいぶし)や"宙明サウンド(ちゅうめいさうんど)"と称されてります。

2015年に宙明先生が90歳になられた事をきっかけに音楽プロデューサー西耕一の西耕一さんと
日本の作曲家を専門に演奏するオーケストラであるオーケストラ・トリプティークのタッグで
オーケストラで宙明先生の楽曲を演奏するコンサートが開催されており、
2022年にご逝去された際には追悼コンサートも開催されました。
今回は先生の偉業をたたえるべく「メモリアル・コンサート」が開催されました。

音響監督には宙明先生のご子息であり、ご自身も作曲家として大河ドラマや
多くの映画、アニメ、特撮などを手掛けられている渡辺俊幸先生が就任。
演奏は前途のオーケストラ・トリプティークの皆さんと
スタジオミュージシャンの皆さんを中心としたホーンやバンドの皆さんが演奏をご担当。
コーラスにはプロ合唱団や日本合唱協会から選抜された方々がヒーロー・コーラスとしてご担当。

宙明先生が手がけられた楽曲を数多く歌われた歌手の方々もご出演。
過去の宙明先生のオーケストラ形式のコンサートに出演された堀江美都子さん、串田アキラさん、中川翔子さんに加え、
2016年の「渡辺宙明卆寿記念コンサートVol.2 ~ブラスサウンドの魅力~」でのサプライズ出演以来のMoJoさんのご出演が発表。
さらに後日、宮内タカユキさんの初出演が発表されました。

コンサートの性質上、今回のレポートはざっくりとした内容でございます。予めご了承頂けましたら幸いです。

当日の模様は動画配信サイト「SV-Commeroe」において生配信とアーカイブ配信が実施。
全5台のカメラが導入されたマルチアングルにて配信されており、
視聴者が自由にアングルを切り替えての視聴が可能になっていました。

会場は東京都の上野駅からほど近い東京文化会館。
多くの観客が入場していく中、ロビーには出演者の皆さんのCDや会場限定販売CDなどのブースが設けられ、
宙明先生ゆかりの品々が展示。出演者の皆さんが歌われた宙明先生の楽曲の譜面を中心に
作品のレコード、CD、台本の他にも玩具や書籍の他、宙明先生が集めた世界の珍しい楽器コレクションや
趣味である宇宙の神秘をまとめたノートや書籍などの私物も展示され、多くの観客が観覧の列を作っていました。
展示コーナーの最初にはアニメ「マジンガーZ」をはじめ宙明先生の楽曲を多く歌われ
長年アニメソング界を牽引され続けながら2022年の12月6日にご逝去された水木一郎さんとの写真が多く展示されていました。

更にホール内への入口横には宙明先生の等身大パネルが宙明先生の願いが込められたサイン入り色紙と共に展示され、
観客は宙明先生と疑似的に記念撮影が出来るフォトスポットも設けられていました。

当日は限定CDの販売や観客の展示観覧を考慮して予定より30分早くロビーを開場し、
更に最終調整からか当初の開場時間を過ぎてもホールが開放されなかったため、ロビーには多くの観客が集まっておりました。
開場時間を30分ほど過ぎた頃にホールが解放されると観客が続々と座席に着座し開演を待っていました。

ステージ上にはオーケストラの楽器が設置されており、向かって左側には司会のブースも設けられていました。
我々が入場した時にはオーケストラの方々がステージ付近で調弦や試演している音がホール内に聞こえていました。

開演時間5分前になると上演にあたっての諸注意がアナウンスされ、
しばらくすると開演のチャイムが鳴り、ホール内の照明がゆっくりと暗くなりました。
続いて演奏陣やコーラスの皆さんがステージにご登場されると観客から拍手が贈られていました。
演奏陣の皆さんに続き指揮を務められる俊幸先生が登場され壇上に上がられていよいよ開演です。


●第1部「渡辺宙明/ヒーロー音楽の伝説」
○宙明サウンドで聴く、ヒーロー音楽の歴史
01:忍者部隊月光の歌/ヒーロー・コーラス
02:ジローのギター
~(メインタイトル)人造人間キカイダー
~ゴーゴー・キカイダー
-MC-


コンサートの幕開けは宙明先生にとって初の子供向けテレビ作品である特撮「忍者部隊月光」よりオープニング。
独特の緊張感ある曲調の中、ヒーロー・コーラス男性陣の皆さんが重厚感のある歌声で披露された後は、
俊幸先生のアレンジによる特撮「人造人間キカイダー」のメドレー。
主人公・ジローが登場する時に演奏している「ジローのギター」はアコースティックギター一本の演奏から
俊幸先生のアレンジによって弦楽器の演奏が加わってより哀愁を感じるものになっており、
そこから「メインタイトル」でがらりと雰囲気が変わり、続いてオープニングテーマが勇壮に演奏されました。

・ここで今回司会も担当される中川さんがご登場。俊幸先生や演奏陣、コーラスの皆さんををご紹介されました。
更に宙明先生の経歴と今回のコンサートの開催にあたっての説明が改めて行われました。
・続いて俊幸先生がご挨拶。
・昨年2022年12月に開催された「追悼コンサート」では新型コロナウイルスの世界的な蔓延を受け観客の発声は禁止されていましたが、
今回は諸々の規制が緩和されている為、観客は各種エチケットを守った上で大いに歌ってほしいとの事でした。

・ここで宙明先生が楽曲制作で使用していた様々な楽器の中からシンセサイザーのミニモーグをご紹介。
・ステージ上に置かれたミニモーグを俊幸先生に促され中川さんが試しに弾かれていました。
・中川さん「宙明先生の体の一部と言っても差し支えないんですね」

○堀江美都子さんコーナー/ヒーローヒロインの女性たち
03野球狂の詩 (1C)/堀江美都子 ヒーロー・コーラス
-MC-
04:勇気のテーマ/堀江美都子
-MC-


中川さんの紹介を受けて堀江さんが登場されて歌われたのは、アニメ「野球狂の詩」より初代オープニング。
堀江さんはしなやかで透明感のあるスキャットをご披露された後、中川さんが登場され
「野球狂の詩」のレコーディング時のエピソードを堀江さんがお話されました。続いても同じくアニメ「野球狂の詩」よりエンディング。
宙明先生が堀江さんの楽曲の中でも特にお好きだったという本曲を、凛としたお声とたたずまいで歌われていました。

05:サザエさんのうた (1.5C)/堀江美都子 ヒーロー・コーラス
-MC-
06:あかるいサザエさん (1.5C)/堀江美都子 ヒーロー・コーラス
-MC-


中川さんが登場され、曲紹介があって披露されたのは"火曜日のサザエさん"と通称されている、
アニメ「サザエさん」の関東圏再放送版「まんが名作劇場 サザエさん」より初代オープニングとエンディング。
観客は堀江さんの促しで手拍子やコーラス部分で参加していました。
続いての「あかるいサザエさん」は弾むような楽しさと、どこかせつなさを感じる曲調と堀江さんの歌声が魅力的。
歌われる前に堀江さんは宙明先生がご自身でとても得意とされていた曲調とお話されていました。

・中川さんが登場され、拍手の中、堀江さんが見送られました。
・中川さん「さぁ続いては今年放送40周年を迎えます『光速電神アルベガス』です! 歌われるのはMoJoさん!!」

○MoJoさんコーナー
07:光速電神アルベガス/MoJo ヒーロー・コーラス
-MC-


拍手の中、MoJoさんが登場され、アニメ「光速電神アルベガス」よりオープニング。
カラオケやバンドで聞く機会に恵まれていた本曲ですが、オーケストラ演奏で聞くのは今回が初めて。
原曲より少しゆっくりとしたテンポでの演奏がダイナミックさをより強調されたように感じました。
MoJoさんはご自身のソロライブさながらのパワフルな歌声とパフォーマンスを披露されていました。

・中川さんが登場され改めてMoJoさんをご紹介。
・MoJoさんが宙明先生と初めてお会いしたのは特撮「バトルフィーバーJ」。
MoJoさん「それ以来、多くの作品を歌わせてもらっていますが、生涯現役の姿には頭が下がりますよ。
     僕なんか足元にも及ばないですけど、出来る限り歌っていければって思ってるんです」

・続いては宙明先生が残された楽曲をMoJoさんにカバーしていただく特別企画。
楽曲は「駆けろ! スパイダーマン」と「勝利のマシンロボ」。
俊幸先生「東映版の『スパイダーマン』を歌われていたヒデ夕樹さんはお亡くなりになられていて、
     『勝利のマシンロボ』を歌われた子門真人さんは現在活動をされていないんですね。
     なので今回はMoJoさんにぜひ歌っていただこうと思います」
観客拍手。

○<ヒーローの名曲をカバーして歌い継ごう>
08:駆けろ! スパイダーマン/MoJo ヒーロー・コーラス
-MC-
09:勝利のマシンロボ/MoJo
-MC-


MoJoさんによるカバーコーナーまずは特撮「スパイダーマン」より故・ヒデ夕樹さんが歌われたオープニング。
MoJoさんのソロライブで聞ける機会に恵まれていた本曲ですが、ホールで、オーケストラでとなると趣深いものがあります。
前奏での「オォー!」や曲中の「スパイダーマン」はヒーロー・コーラスの方(根岸一郎さん?)が担当されていました。
MoJoさんは「次の曲は♪まぁいにちまぁいにち練習していたんですよ」とフジテレビ「ひらけ! ポンキッキ」より
子門真人さんの代表曲である「およげ! たいやきくん」の一節を交えて観客を盛り上げられた後、
会場近くの恩賜上野動物園にいたジャイアントパンダのシャンシャンへの思いをお話されました。
そして歌われたのはアニメ「マシンロボ クロノスの大逆襲」より子門真人さんが歌われた二代目オープニング。
軽快な曲調を力強く伸びやかに歌われるMoJoさんは、節回しやロングトーンは子門さんのそれを見事に踏襲されていました。

○<スーパー戦隊のヒーローたち>
10:バトルフィーバーJ/MoJo ヒーロー・コーラス
-MC-
11:大戦隊ゴーグルV (タイトルコール入り)/MoJo ヒーロー・コーラス
-MC-


中川さんがご登場。「MoJoさんが歌われた楽曲と言えばこの二作品も聞きたいです」と曲紹介をされ、
続いてはスーパー戦隊シリーズより、MoJoさんと宙明先生が出会った特撮「バトルフィーバーJ」よりオープニング。
バトルフィーバー隊の返事部分はMoJoさんではなくヒーロー・コーラスの皆さんが担当されていました。
宙明先生と初めてお会いした時のエピソードを話されたあとで歌われたのは特撮「大戦隊ゴーグルV」よりオープニング。
今回はヒーロー・コーラスの皆さんによるテレビ放送時のタイトルコールが入ったのも嬉しかったです。
ライブでの一体感が魅力の本曲は今回のコンサートでも手拍子や合いの手、大合唱で場内が一つになり
中心のMoJoさんはとても嬉しそうに客席を見渡してステージを動き回りながら歌われていました。

・拍手の中、中川さんが登場されてMoJoさんを見送られました。
・中川さん「続いては宙明先生によってアニメ、特撮をソングを歌われる事になった串田アキラさんのご登場です。
     なんと本日は串田さんが歌われた『太陽戦隊サンバルカン』のヒロインである嵐山美佐を演じられた
     根本由美さんが会場にいらっしゃっています!」
1階客席にいらっしゃった根本さんがその場で立たれると観客から歓声と拍手が贈られていました。

○串田アキラさんが歌うスーパー戦隊
12:太陽戦隊サンバルカン/串田アキラ ヒーロー・コーラス
-MC-
13:若さはプラズマ (1C)/串田アキラ ヒーロー・コーラス
-MC-


中川さんと入れ替わりに串田さんが登場されて歌われたのは特撮「太陽戦隊サンバルカン」よりオープニング。
串田さんは文字通り太陽の様なからりとした本曲をパワフルに歌われた後、宙明先生に見出され
「サンバルカン」を歌う事になった経緯をお話されました。そして歌われたのは同じく「サンバルカン」の初代エンディング。
1番だけと短いご披露ながらヒーロー・コーラスの皆さんと共に爽やかに歌われていました。

・興奮気味に中川さんがご登場。
中川さん「『一人より二人がいい、二人より三人がいい』いーいですねー!
     実は今回のコンサートにおけるテーマのひとつが『仲間』なのですが、
     やはりこのお三方ほど素晴らしい仲間もいらっしゃいません。MoJoさん、宮内タカユキさん!」
拍手の中、MoJoさんと宮内さんがご登場。
・ここでMoJoさんのマイクのスイッチが入っていないというちょっとしたアクシデントがありました。

○<串田アキラ、MoJo、宮内タカユキによる伝説のスーパー戦隊>
14:秘密戦隊ゴレンジャー/串田アキラ MoJo 宮内タカユキ ヒーロー・コーラス
-MC-


魂の三兄弟の皆さんが歌われたのは特撮「秘密戦隊ゴレンジャー」よりささきいさおさんが歌われたエンディング。
弦楽器が強調された俊幸先生によるアレンジは原曲より一層しなやかでスリリングで高揚感を誘われました。
1番はMoJoさんが、2番は宮内さん、3番は串田さんがそれぞれメインで歌われており、
「力と技と団結の」の部分ではいさおさんが行われている振り付けをコーラルの皆さんと共に行っていました。

・「最高が限界突破しています」と感激しながら中川さんがご登場。
・中川さん「三人が揃う時にはこの曲が全てを肯定してくれる決定版の曲があります! 『伝説』という曲です。
     これまで生オーケストラで披露されなかったこの曲がフルオーケストラで披露されます!」

15:伝説/串田アキラ MoJo 宮内タカユキ ヒーロー・コーラス

Vシネマ「轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊」より串田さん、MoJoさん、宮内さんで歌われたエンディング。
高らかなマーチ調の本曲をお三方それぞれの歌声とパフォーマンスで順番に歌われていき、
サビ部分ではコーラスの皆さんに誘導され観客が手を左右に振って会場全体の一体感が生まれていました。

~休憩~
-MC-


拍手の中、俊幸先生が退場され、15分間の休憩のアナウンスがあって、演奏陣の皆さんがご退場。
この間もロビーではCDなどのグッズ販売や宙明先生ゆかりの品々を見学することが出来ました。

後半開始の時間になると、オーケストラの皆さん他、演奏陣の皆さんが登場されてスタンバイ。
調律が終わると俊幸さんと中川さんがステージ中央へご登場されました。

・俊幸先生「第二部まずはは中川さんに4曲歌っていただきたいと思います。
     前回の『追悼コンサート』では中川さんが歌いたいとおっしゃった曲が1曲、
     こちらからお願いした曲が2曲でしたが、今回は更にもう1曲お願い致しました。
     中川さんが宇宙一お好きだという『電子戦隊デンジマン』を歌って頂きます」
観客拍手。
中川さん「ひぃぃ恐れ多い事でございます。生きていると凄い事がありますね。 
     私にとって一番大好きなスーパー戦隊は『電子戦隊デンジマン』なんです。
     イントロのあのボコーダーの電子音がちょっとコワくてカッコよくって渋くって、
     1980年代の未来を感じさせるアノ曲を歌わせていただくのは恐れ多いのですが、
     それだけではもったいの無いので愛と勇気の炎を燃やして挑戦したいと思います。
     スーパー戦隊ですので皆さんも一緒に参加して歌って頂ければと思います」

●第2部「渡辺宙明のヒーロー音楽の広がり」
○中川翔子さんに歌い継いでいただきたい宙明サウンド
16:電子戦隊デンジマン (1C)/中川翔子 ヒーロー・コーラス
-MC-


中川さんのステージは特撮「電子戦隊デンジマン」より故・成田賢さんが歌われたオープニングのカバーから。
原曲キーなので中川さんにとっては低かったと思いますが、「デンジスパーク」などではポーズを決めながら
とても誠実に歌われていた印象で、歌い終ると観客から歓声が起こりました。

17:キュア・アクション/中川翔子 ヒーロー・コーラス
-MC-
18:永遠のイクサー1/中川翔子
-MC-


続いてはアニメ「ふたりはプリキュア」より五條真由美さんが歌われたイメージソング。
五條さんの節回しを彷彿とされる伸びやさで歌われた後はOVA「戦え!! イクサー1」より、
シリーズ本編最終巻「ACT-3 完結編」より柿沢美貴さんが歌われたエンディング。
宙明先生が生前に中川さんに歌ってみて欲しいとお話されていたという楽曲だけに、
中川さんの歌声にとても似合っており、魅力が一層引き立つように感じました。

○宮内タカユキと中川翔子のビデオ戦士レザリオン主題歌、エンディング
19:ビデオ戦士レザリオン/宮内タカユキ ヒーロー・コーラス
20:ハートフル ホットライン/中川翔子 ヒーロー・コーラス
-MC-


ここで中川さんに呼びこまれて宮内さんが登場され、アニメ「ビデオ戦士レザリオン」よりオープニング。
都会的な前奏はオーケストラの演奏で聞くと音色も宮内さんの歌声もより一層洗練さが際立ちました。
続いては中川さんがかおりくみこさんが歌われたエンディング「ハートフル ホットライン」をカバー。
俊幸先生のアレンジはよりロマンチックさが際立ち、中川さんの歌声も柔らかな印象を受けました。

・拍手で宮内さんが見送られ、中川さんは司会ブースに移動されました。
中川さん「すみません私興奮し過ぎまして台本を持ってくるのを忘れてしまいました」
観客笑。
中川さん「マネージャーさんスミマセン台本を……あ、ありがとうございます。
     いや興奮するとこうなるんですね。大変失礼いたしました」

○串田アキラさんの歌う宇宙刑事
20:宇宙刑事ギャバン/串田アキラ
-MC-
21:強さは愛だ/串田アキラ
-MC-


続いては宙明先生が手がけられたメタルヒーローシリーズの中から宇宙刑事シリーズの楽曲。
串田さんが登場されまずは特撮「宇宙刑事ギャバン」よりオープニングを俊幸先生アレンジ版でご披露。
俊幸先生のアレンジは原曲をよりダイナミックになった印象で串田さんの歌声も実にパワフル。
続いては宙明先生が特に詞がお好きだったという特撮「宇宙刑事シャリバン」よりエンディング。
串田さんは歌われる前に「先生が大好きだったこの曲を心のパワーで歌います」とお話されました。
原曲より少しゆっくりな演奏だった分、歌詞の一言一言を噛みしめるようにじっくりと聞き入りました。

・拍手の中、中川さんが登場されると串田さんが見送られ、再び堀江さんがご登場。
・俊幸先生「父は生前『メロディアスなバラードにも自信があるんだ』と話しておりまして、
     冗談半分で『追悼コンサートをするなら私のバラード曲を俊幸のアレンジで演奏して欲しい』と話していました。
     その言葉を受けて私が続いての曲を選んだんですね」
堀江さん「この曲をレコーディングした時は宙明先生が『うん、よかったですよかったですね』ってお話されていましたね。
     先生っていつも『素晴らしかったです。良かったです』ってずっと誉めてくれるんですよ」
俊幸先生「そうなんですか。父はホントは凄く口うるさいんですよ。悪かったら何も言わないですからね。
     そんな父が『よかった』としか言わないんですからとても良かったんだと思います」
堀江さん「あ、そうなんですか? ありがとうございます」

○堀江美都子さんの歌うヒーローヒロイン
22:心のオネスティー/堀江美都子 ヒーロー・コーラス
-MC-


堀江さんが歌われたのはOVA「破邪大星ダンガイオー」よりエンディングを俊幸先生のアレンジで。
原曲よりも静かなはじまり方から曲が続くにつれて壮大になっていく構成はとてもドラマチックで
堀江さんのせつなげでひろがりのある歌声は会場全体を包み込んでいく様でした。

・中川さんの曲紹介を受け堀江さんが楽曲の解説。
堀江さん「続いての曲は宙明先生との出会いの曲です。当時あたしは17歳。
     後で聞いたら先生はあたしの事を17歳より随分年上だと思っていたらしいんです。いくつだと思ってたんだろ?」
観客笑。
堀江さん「それまで可愛らしい曲を多く歌って来ていたので、違う堀江美都子を見せたいと思っていた頃でした。
     そんな時に『思いっきり歌えば?』と歌わせてもらったのがこの曲なんです。なので叫びましたねー」

23:ビューナスAの歌/堀江美都子
-MC-


アニメ「グレートマジンガー」よりヒロイン炎ジュンが操るロボット・ビューナスAのテーマ。
緊張感のある前奏や冒頭のセリフ、堀江さんの凛とした歌いぶりと哀愁と意思の強さを感じました。

○宙明サウンドとマジンガーZ
24:マジンガーZ 組曲
PART1「II-2 機械獣の進撃」
PART2「C-4 Zの危機」~「C-5 マジンガーZ対機械獣」
PART3「Zのテーマ」


堀江さんが拍手で見送られ、中川さんの解説を受けて演奏されたのは「マジンガーZ」組曲。
アニメ「マジンガーZ」の楽曲の中でも宙明先生がお好きだったという楽曲を集めた本組曲は、
本来は最初にオープニングテーマが演奏されるのですが、今回はオープニングを除いた特別版でのご披露。
どの曲もそれぞれの魅力を感じますが、やはり最後の「Zのテーマ」は特にぐっとくるものがありました。

・ここで今回出演された歌手の皆さんがステージに登場されましたが、
ステージの真ん中に立たれた堀江さんと串田さんの間は人ひとりが立たれる分の距離が置かれていました。
・俊幸先生「『マジンガーZ』となるとやはり水木一郎さんについて触れないわけにはいきません。
     彼にとっても代表曲であり、父にとっても代表曲でした。
     昨年の『追悼コンサート』でも水木さんは闘病中にもかかわらず出演の遺志をとても固く持たれていました。
     本当に当日のギリギリまで調整をして下さったのですが、ドクターストップで出演は叶いませんでした。
     それからしばらくして旅立たれてしまった事を思うと、そんな容態の中にも拘わらず、
     父の為に出演してくれようとしていた事に頭が下がり、感謝の念に堪えませんでした」

25:マジンガーZ/INFINITY バージョン(1C) /堀江美都子 串田アキラ MoJo 宮内タカユキ 中川翔子 ヒーロー・コーラス

本編最後は劇場版「マジンガーZ/INFINITY」より、故・水木一郎さんが歌われたオープニングを出演者の皆さん全員で。
出演者の皆さんが全員で合唱される中、弦楽器が縦横無尽に演奏され、疾走感が増したアレンジは原曲と好対照の魅力で
1番だけの短い演奏ながらオーケストラで聞く事が出来たのはとても嬉しかったです。

-アンコール-

・拍手の中、中川さんが退場される出演者の皆さんをお一人づつ紹介されながら退場され、
それまで続いていた拍手がアンコールを表す手拍子へと変わっていきました。
・この間、演奏陣の皆さんはステージ上に残られており、俊幸先生もすぐに戻られて準備をされていました。

26:レーザー・メドレー 3本の剣
「B-11 マクーの攻撃」~「B-2 異次元大決戦」~「B-3 青き閃光」
-MC-


アンコールは宇宙刑事シリーズで戦闘時のクライマックス場面でよく流れていた事で
ファンからは「レーザーブレードのテーマ」として親しまれ、宙明先生を象徴する楽曲群のメドレー。
特撮「宇宙刑事ギャバン」より「マクーの攻撃」、特撮「宇宙刑事シャリバン」より「異次元大決戦」、
特撮「宇宙刑事シャイダー」より「青き閃光」と緊迫感や独特の高揚感が印象的な旋律を
オーケストラで聞く事が出来るのは臨場感をかき立てられたまらないものがありました。

27:宇宙刑事ギャバン (1C)/観客
28:太陽戦隊サンバルカン (1C)/観客
-MC-


ここで俊幸先生から次は観客に歌ってもらうコーナーで立ちたい観客は自席で立っても良いという案内があり、
特撮「宇宙刑事ギャバン」、特撮「太陽戦隊サンバルカン」よりオープニングを観客が大合唱。
約2000人規模の観客のみの大合唱はコロナ禍以来久し振りに体感するとその迫力に圧倒されました。
俊幸先生も指揮をされながら時折客席を振り返られ、笑顔で指揮をされていました。

・最後にもう一曲「マジンガーZ」を観客と一緒に歌おうという事になり
俊幸先生に呼びこまれて出演者の皆さんが再びステージへご登場。
・この時もステージの真ん中に立たれた堀江さんと串田さんの間は人ひとりが立たれる分の距離が置かれていました。
・俊幸先生「それでは私が『マジンガーZ』といいますのでその後皆さんも『マジンガーZ』と言ってください。
     いいですか? 『マジンガーゼェエエエッ!!』」
観客「マジンガーゼェエエエッ!」

29:マジンガーZ (1C)/堀江美都子 串田アキラ MoJo 宮内タカユキ 中川翔子 ヒーロー・コーラス 観客
-MC-


「渡辺宙明 メモリアル・コンサート」のラストはアニメ「マジンガーZ」より、故・水木一郎さんが歌われたオープニング。
名残惜しさを感じながら出演者の皆さんと観客とが一緒になっての大合唱で締めくくられました。


●記念撮影

・ここで観客が自由に写真を撮影できるフォトセッションタイムが設けられました。
出演者のみなさんが客席の左、中央、右と向かれる中、多くの観客がその様子を写真に収めていました。
・俊幸先生が退場される出演者の皆さんをおひとりづつご紹介。
・更にドラム、ギター、ベース、ピアノ、シンセサイザー、キーボードの皆さんをおひとりづつご紹介。
オーケストラとコーラスのみなさんは全体でご紹介されました。

俊幸先生から感謝の言葉があり、大きな拍手の中、俊幸先生が退場されるとステージ上が暗くなり、
演奏陣の皆さんがそれぞれ退場され、「渡辺宙明 メモリアル・コンサート」は終演となりました。

オーケストラ形式のコンサートという事で宙明先生の楽曲の特徴的な楽器の音色を
耳はもちろん、目でも味わう事が出来るのはとても興味深かったです。
2022年の「追悼コンサート」を基盤にしつつ、MoJoさん、宮内タカユキさんが出演された事により
「追悼コンサート」はもちろん2015年の「卒寿記念コンサート」以降のシリーズでも披露されなかった
楽曲が多く披露された事で、改めて宙明先生の作風の広さを一層感じられました。


補足

・ホールの入口付近には俊幸先生と親交が深いさだまさしさんやレコード会社の日本コロムビア、
水木さんのスタッフさんからのお花が展示されていました。

・当日限定販売されたCDは「渡辺宙明未発表作品集」。
宙明先生が当初音楽を担当される予定だったものの紆余曲折あっていつも間にか担当ではなくなったという
特撮「怪獣王子」用の主題歌や楽曲、特撮「太陽戦隊サンバルカン」の嵐山美佐のキャラクターソングである
「美佐の歌」「美剣士白バラ仮面」他を収録したもので、完売後の再販や一般流通は行われないとの事でした。
「怪獣王子」の主題歌は特撮「仮面ライダースーパー1」の草波ハルミ役や
「電子戦隊デンジマン」第33話「吸血楽器レッスン」のヨーコ役の田中由美子さん、
「美佐の歌」「美剣士白バラ仮面」は当日ご来場された嵐山美佐役の根本由美さんがそれぞれ歌われていました。

・コンサート序盤で紹介されたミニモーグは休憩時間からはホールの入口付近に展示されていました。

・司会を担当される際の中川さんは出演者の皆さんとの会話で進行するのではなく
基本的に司会ブースに留まりナビゲートされていました。

・堀江さん「あたしは宙明先生の曲ではとても幅広いジャンルを歌わせていただきました。
     限りなく幅広い声で歌うんだよと先生に教えられたような気がします」

・MoJoさん「ヒデさんの曲は自分も好きで『スパイダーマン』は大好きな曲なんですよ。
     今日はオーケストラの皆さんと歌うのでとても緊張してます」

・MoJoさん「今日はこんなゴージャスなステージに立たせていただいて。
     自分にはピッタリですね。ふふふふ」
観客笑。

・恩賜上野動物園にいたジャイアントパンダのシャンシャンが大好きで何度も通われたMoJoさん。
MoJoさん「よく来てたんですよ。一日に4回くらい回った事もあります。
     必ずこの会場の前を通っていて、いつかここで歌いたいと思っていたんですよ」

・「バトルフィーバーJ」「大戦隊ゴーグルV」では「オルタネートバージョン」のスキャットを口パクされていたMoJoさん。

・MoJoさん「最初に『バトルフィーバーJ』のレコーディングに行った時の先生はダンディだったんですよ。
     なんかね、ブレザーを着ていてカッコよくてね。でも当時はその方が先生だって知らなくて
     『先生はいつごろ来るんですか?』って聞いちゃったんですよね。先生がいらっしゃるのに」
観客笑。

・串田さん「僕の夢は生涯ずっと歌い続ける事です。
     宙明先生が僕が歌った映画の『マッドマックス』の日本版主題歌を聞いてくださって
     『サンバルカン』の歌手に推薦してもらいました。おかげでその後もアニメや特撮の歌を歌いました。
     なので先生がいなければ、僕は今、ここにいません。先生は僕のかけがえのない恩人です」

・MoJoさんは「秘密戦隊ゴレンジャー」ではいさおさんの節回しをとても踏襲されて歌われていました。

・中川さん「なんか持ち歌よりも生き生きしている様な私がおります」

・宮内さんが「ビデオ戦士レザリオン」を歌われている中、中川さんはその場に留まられ、
中川さんが「「ハートフル ホットライン」を歌われている時に宮内さんもその場に留まられていました。

・串田さん「このアレンジで『ギャバン』がまた映画にならないかなぁ」

・宙明先生のご葬儀が行われた際、俊幸先生は水木さんと串田さんに弔辞をお願いなさったそうです。
俊幸先生「その時は水木さんがご病気で容体も悪いという事を知らなくてお願いしてしまったのですが、
     そういった状態でも快く引き受けれくださり、当日も参列頂いて弔辞を読んで下さいました」

・ヒーロー・コーラスの皆さんも終始ノリノリで歌われており、時には拳を突き上げられたり、
「マジンガーZ」ではネクタイを水木さんを思わせるマフラー風になびかせられている方もいらっしゃいました。

・俊幸先生が音楽を担当された劇場版「マジンガーZ/INFINITY」のお話。
俊幸先生「それまで水木さんとお仕事をした事はありましたが『マジンガーZ』は彼と父にとっても代表作です。
     そんな作品に音楽として関わる事が出来、三人で一緒に仕事が出来たというのは非常に嬉かったです。
     主題歌のレコーディングの際は水木さんはとても元気でね。それまで何回も歌ってきたはずの曲を
     新曲を初めて歌うのと同じ感覚で本当に格好良く歌われて、もう最高でしたね」

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