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渡辺宙明 追悼コンサート
22.12.2 NHKホール

音楽監督・指揮/渡辺俊幸

出演/串田アキラ ささきいさお 中川翔子 堀江美都子 水木一郎 (50音順)

司会/中川翔子 渡辺俊幸

コンサートマスター/工藤春彦
演奏/オーケストラ・トリプティーク
   Tr.エリック宮城 Key.大迫杏子 Pi.紺野紗衣 Ba.二家本亮介 Dr.則竹裕之 G.福原将宜
コーラス/ヒーローコーラス



渡辺宙明先生。
ご本名の宙明(みちあき)の読みを変えて渡辺宙明(ちゅうめい)というペンネームで活動され、
1953年のラジオドラマ「アトムボーイ」で作曲家としてデビュー。50年代から70年代初頭までは「人形佐七捕物帖」シリーズや
「スーパージャイアンツシリーズ」シリーズ等の新東宝を中心とした映画音楽をメインに数々の作品を手掛けられました。

1972年のアニメ「マジンガーZ」、特撮「人造人間キカイダー」を皮切りに、数々のテレビまんがの音楽をご担当。
以降、アニメではロボット、スポーツ、ファミリー向けなど多彩なジャンルの作品を手がけられ、
特撮では石ノ森章太郎先生原作作品、初期のスーパー戦隊シリーズ、宇宙刑事シリーズからはじまるメタルヒーローシリーズ、
ゲームではスーパーロボット大戦シリーズからアイドルマスターシリーズなど幅広く手がけられました。
高揚感と哀愁を併せ持つ独特のサウンド、革新的な音楽への追求から生まれた不世出の旋律は
"宙明節"(ちゅうめいぶし)や"宙明サウンド(ちゅうめいさうんど)"と称されており、
ファンからは宙明先生(ちゅうめいせんせい)という愛称で呼ばれ、親しまれていました。

2021年のスーパー戦隊シリーズ45周年記念作の特撮「機械戦隊ゼンカイジャー」では
39年ぶりにシリーズの劇中音楽を手がけられ、
御年95歳を越えてなお現役の作曲家として精力的に作家活動をされていましたが
2022年6月23日老衰による心不全のため、96歳でご逝去されました。

宙明先生を偲び、偉業をたたえるべく追悼コンサート開催されました。
音響監督には宙明先生のご子息であり作曲家として
映画平成版「モスラ」シリーズ、大河ドラマ「毛利元就」「利家とまつ~加賀百万石物語~」
アニメ「銀河漂流バイファム」「アイドル伝説えり子」「宇宙兄弟」などを手掛けられた渡辺俊幸先生が就任。
宙明先生のコンサートを多く開催されてきたオーケストラ・トリプティークの皆さんと
スタジオミュージシャンの皆さんを中心としたホーンやバンドの皆さんが演奏をご担当。
そして宙明先生が手がけられた楽曲を数多く歌われてきた、ささきいさおさん、堀江美都子さん、串田アキラさん、
NHK-FM「アニソンアカデミー」の司会を務められ、宙明先生と親交があった中川翔子さんが出演者。
更に追加出演者として2021年に声帯不全麻痺を発症しその治療中に肺がんが見つかり、
闘病しながら歌手活動を行われていた水木一郎さんのご出演も発表されていました。

コンサートの性質上、今回のレポートはざっくりとした内容でございます。予めご了承頂けましたら幸いです。

会場は東京渋谷にあるNHKホール。
多くの観客が入場していく中、ロビーには出演者のCDや会場限定&先行販売などのブースが設けられ、
ロビーの最奥には宙明先生ゆかりの品々が展示されており、多くの観客が観覧の列を作っていました。
更に宙明先生の等身大パネルも展示され、記念撮影が出来るフォトスポットも設けられていました。

ホール内に入場すると既に多くの観客が開演を待っている状況。
ステージ上にはオーケストラ、ホーン、バンド、コーラスなどそれぞれのブースが設けられ
背面は大きなスクリーンになっており、宙明先生のお写真と今回のコンサートロゴが映し出されていました。
ホール、ロビーとも開演までのBGMとして宙明先生が手がけられた歌や音楽が流れており、
時折、開演にあたっての諸注意がアナウンスされていました。

開演時間の5分前に演奏陣の皆さんがステージにご登場され、観客から拍手が贈られる中スタンバイ。
準備が整うとコンサートマスターの工藤春彦さんが登場され、チューニングが行われると
指揮を務められる俊幸先生が登場され、時節がら、工藤さんと握手ではなく腕を合わせられていました。

01:ジローのギター
~(メインタイトル)人造人間キカイダー
~ゴーゴー・キカイダー
-MC-


背面スクリーンに生前の宙明先生の映像や様々な年代のお写真が映し出される中での一曲目は、
特撮「人造人間キカイダー」より、主人公・ジローが登場する時に演奏している「ジローのギター」。
追悼コンサートという事もあってか、しめやかに哀愁のあるギターのアルペジオでのはじまりでしたが、
今回俊幸先生のアレンジによって原曲のギターソロに控えめに弦楽器の演奏が加わっていました。
コンサートがこの年に放送50周年を迎え、宙明先生にとって初めてのテレビアニメ・特撮作品である
「キカイダー」からはじまったというのもさることながら、
スクリーンに宙明先生が指揮をされている映像が流れるタイミングで演奏された
「人造人間キカイダー」タイトルバックからのオープニングテーマという演出にはたまらないものがありました。

・ここで今回司会も担当される中川さんがご登場され俊幸先生をご紹介。
・更に会場に来場されているキカイダー/ジロー役の伴大介さんをご紹介。
客席にいらした伴さんがその場に立たれると観客から拍手が贈られていました。
・中川さんが宙明先生の経歴をご紹介され、俊幸先生からご挨拶がありました。
・宙明先生は生前、ご自身が無くなられた時は追悼コンサートの開催を希望されており、
その際には俊幸先生にご自身の楽曲をアレンジして演奏して欲しいとお話をされていたそうです。

02:野球狂の詩 (1C)/堀江美都子
-MC-
03:勇気のテーマ/堀江美都子
-MC-


最初のコーナーは堀江さんがご登場。まずはアニメ「野球狂の詩」より初代オープニング。
小気味の良い曲調で堀江さんは透明感のあるスキャットをご披露。
続いての曲紹介をされ歌われたのは同じくアニメ「野球狂の詩」よりエンディング。
堀江さんの凛とした歌声と哀愁を感じる曲調をたっぷりと味わう事が出来ました。

・中川さんが登場され、改めて堀江さんをご紹介。
・「勇気のテーマ」レコーディング当時の思い出。
・堀江さん「まだ若かったのもあって当日は声が細く、出にくかったんですね。
     そんな中、先生は『いいんだよ。そういう所がイメージにあってるんだよ』って言ってくださいました」
・堀江さんも宙明先生も記憶力が凄い。
堀江さん「レコーディングした時に来ていた洋服とかお天気とかも覚えてるんですよ」

04:心のオネスティー/堀江美都子
-MC-


続いてはOVA「破邪大星ダンガイオー」よりエンディングを俊幸先生のアレンジで。
ライブやコンサートで歌われる事がとても珍しい本曲を聞く事が出来たのが実に嬉しく。
俊幸先生のアレンジで弦楽器が中心になった事で、堀江さんの柔らかい歌声を一層ドラマチックに感じました。

・中川さんが登場され、堀江さんとお話。
・「火曜日のサザエさん」こと「まんが名作劇場 サザエさん」のお話。
・堀江さん「当時あたしは高校生でお年頃だったので正直『なんで自分がこの曲を?』って思ってたんですよ。
     『もっとカッコいい歌が歌いたい』って思っていたじきだったんですね。
     でもいざ歌ってみると難しいんですね。先生独特のラテンのノリがこういう歌にも生きてるんですね。
     先生もよく『ボクはこういう歌が好きなんですよ』って言ってくださっていましたね」・

05:サザエさんのうた (1.5C)/堀江美都子
-MC-
06:あかるいサザエさん (1.5C)/堀江美都子
-MC-


アニメ「サザエさん」の関東圏再放送版「まんが名作劇場 サザエさん」より、初代オープニングとエンディング。
「サザエさんのうた」では堀江さんが一番終わりのサビを繰り返す場所を間違えるというとても珍しい一幕も。
続いての「あかるいサザエさん」では安定感抜群の伸びやかで弾むような歌声を披露されていました。
二曲ともオーケストラによる生演奏で聞くとなんともいえない郷愁を一層かきたてられます。

・堀江さんと入れ替わりに中川さんがご登場。
・中川さん「続いては宙明先生が歌声を見出した事でアニメ・特撮を多く歌うようになったという
     串田アキラさんのご登場で『宇宙刑事』三部作の主題歌を唄って頂きます。
     『宇宙刑事ギャバン』は俊幸先生の新アレンジでお届けします。」

07:宇宙刑事シャリバン (1C)/串田アキラ
08:宇宙刑事シャイダー (1C)/串田アキラ
09:宇宙刑事ギャバン/串田アキラ
-MC-


中川さんと入れ替わりに串田さんが登場され、宙明先生の傑作「宇宙刑事」シリーズの主題歌。
まずは特撮「宇宙刑事シャリバン」と特撮「宇宙刑事シャイダー」のオープニングを連続で。
串田さんの力強い唄声はもちろん、コーラスを担当されているヒーローコーラスの方の
「シャリバン」での「シャーイン」等の投げ込み「シャイダー」冒頭部分のスキャットも魅力的でした。
特撮「宇宙刑事ギャバン」よりオープニングを俊幸先生のアレンジによるフルコーラスで。
ロック調の原曲からオーケストラアレンジになり、串田さんの唄声がよりダイナミックな存在感に。
一番終わりの間奏部分のブラスと弦楽器が合わさっていくカッコよさは特に印象的でした。

・中川さんが登場され、改めて串田さんをご紹介。
・メタルヒーローシリーズ特撮「巨獣特装ジャスピオン」の挿入歌「超惑星戦斗母艦ダイレオン」の思い出。
ブラジルでは「ジャスピオン」が大人気。串田さんがブラジルに招かれた際に空港の人だかりを見て
有名なサッカー選手がいるのかと思っていた所、集まった人達が口々に「ダイレオーン」と合唱し驚かれたそうです。 
・串田さん「ブラジルに行くたびに歌ってるんですけど、凄い人気なんですよ。
     その事を宙明先生にお話したら『面白そうですね』ととても興味津々だったんですね。
     『いつかブラジルに行きたいですね』とお話されていたんですけど、移動時間が長いので。
     ブラジルまでは30時間以上かかりますからね。なかなか実現しませんでした。
     もしかしたら今頃、ブラジルに言ってるかもしれませんね」

10:太陽戦隊サンバルカン/串田アキラ
-MC-
11:超惑星戦斗母艦ダイレオン/串田アキラ
-MC-


続いては串田さんが宙明先生に見出された楽曲である特撮「太陽戦隊サンバルカン」オープニング。
からりとした晴れやかな串田さんの唄声はどこか原曲に忠実に歌われている印象。
ヒーローコーラスの皆さんがとても楽しそうに歌われている様子も素敵でした。
「サンバルカン」で苦労した「カッコよく歌う」という事のエピソードをお話された後、
ブラジルで大人気の特撮「巨獣特捜ジャスピオン」挿入歌「超惑星戦斗母艦ダイレオン」。
勇ましいブラスサウンドと串田さんの渾身の唄声の迫力に圧倒されつつ、
CD等で音だけで聞いていた楽器がどこでどう演奏されているかを目視できたのは興味深かったです。

・中川さんが登場され、串田さんとトーク。
・中川さん「宙明先生の激アツな楽曲も素敵ですし、男の哀愁、愛を感じるバラードも魅力的です。
     『星空のメッセージ』と『強さは愛だ』を歌って頂きます」
串田さん「そうですね。この2曲は各方面の方からメッセージをいただくんです。
     受験勉強を頑張ろうと思ったとか、俳優さんが海外でホームシックになった時に勇気づけられたとか、
     スーツアクターさんが大けがをしてしまった時にこの曲を聞いてリハビリを頑張って
     『今ではこんなに元気になりました』といってバック転を披露してくださったりとか」

12:星空のメッセージ (1C)/串田アキラ
13:強さは愛だ/串田アキラ
-MC-


続いて串田さんが唄われたのは特撮「宇宙刑事ギャバン」よりエンディング。
串田さんは遠くをご覧になっているような表情で優しく語りかけるように唄われていました。
余韻もそのままに特撮「宇宙刑事シャリバン」より、ファンから根強い支持を集めているエンディング。
串田さんの元気づけられる頼もしい唄声が響き、会場全体でしみじみと聞き入っているように感じました。

・串田さんを見送りながら中川さんがご登場。
・中川さん「第一部を締めくくるのは『宇宙刑事ギャバン』組曲を10分程に編曲してお届けします。
     更にラストには『レーザーブレード』のテーマを三曲メドレーにしてお聞きいただきます」

14:「宇宙刑事ギャバン」組曲
15:レーザー・メドレー 3本の剣
「B-11 マクーの攻撃」~「B-2 異次元大決戦」~「B-3 青き閃光」


第一部のラストは「宇宙刑事ギャバン」より本来約20分の組曲を10分に凝縮版で。
宇宙の壮大さを感じる序盤から不穏な空気になり、都会的なサウンドや郷愁を誘う音色など、
宙明先生が手がけられた楽曲の奥深さを改めて感じ、演奏を見られた事で目でも耳でも味わえました。
そのまま流れるように宇宙刑事シリーズで戦闘時のクライマックス場面でよく流れていた事で
ファンからは「レーザーブレードのテーマ」として親しまれ、宙明先生を象徴する楽曲群のメドレーへ。
特撮「宇宙刑事ギャバン」より「マクーの攻撃」、特撮「宇宙刑事シャリバン」より「異次元大決戦」、
特撮「宇宙刑事シャイダー」より「青き閃光」と緊迫感や独特の高揚感が印象的な旋律を
オーケストラのコンサートだからこそ味わえる臨場感で堪能。生演奏の迫力に圧倒されました。

~休憩~
-MC-


拍手の中、俊幸先生が退場され、15分間の休憩のアナウンスがある中、演奏陣の皆さんがご退場。
CDなどのグッズ販売や宙明先生ゆかりの品々を見学することが出来ました。

後半開始の時間になると、工藤さんはじめオーケストラの皆さんがスタンバイ。
調律が終わると俊幸さんと中川さんが登場されてステージ中央へ。

・宙明先生は常々中川さんに曲を書きたいとおっしゃっておられたとか。
・俊幸先生「若い人たちにも父の曲を歌い継いでいって欲しいと思い、中川さんには3曲歌っていただきたいと思います」
中川さん「錚々たるレジェンドの皆さんと同じステージに立たせていただくだけでなく、
     宙明先生の曲を歌わせていただくのは大変光栄です名乗り忘れました中川翔子です」
観客笑。

15:キュア・アクション/中川翔子
-MC-


中川さんによるカバーは五條真由美さんが歌われたアニメ「ふたりはプリキュア」イメージソングから。
歌詞の「デュアル・オーロラ・ウェイブ!」の個所では作品同様に手を上に伸ばすポーズを決めながら、
中川さんはハジけるような歌声を披露されました。

・俊幸さん「続いては父の作品の中でも根強い人気のあるシリーズから『永遠のイクサー1』……」
観客「おぉおぉお……」
俊幸さん「そして私が編曲しました『ハートフルホットライン』です」

16:永遠のイクサー1/中川翔子
17:ハートフル ホットライン/中川翔子
-MC-


1980年代中盤を彩ったOVA「戦え!!イクサー1」シリーズより本編最終巻「ACT-3 完結編」のエンディング。
緊張感のある繰り返しが印象的な曲を、中川さんはシリアスにしなやかに歌われ、とてもハマっていました。
続いてはアニメ「ビデオ戦士レザリオン」よりエンディングを俊幸先生のアレンジで。
AORのような都会的でオシャレなアレンジで、なめらかな大人な歌声の中川さんを堪能できました。

・歌い終わられた中川さんは司会席へ。
中川さん「コンサートも佳境になってまいりました。
     次は宙明先生の代表作であるバンバラバンバンバン『秘密戦隊ゴレンジャー』を
     俊幸先生のアレンジでお届けします!」
・いさおさんが登場されると観客から感嘆の声が漏れ、大きな拍手が送られました。

18:秘密戦隊ゴレンジャー/ささきいさお
-MC-


特撮「秘密戦隊ゴレンジャー」エンディング。俊幸先生のアレンジはスピーディーかつ
キリッとしたブラスが際立っていて、いさおさんは凛々しくカッコよく歌われました。

・いさおさん「この歌を歌う時に先生に初めてお会いして、『エルヴィス・プレスリーみたいに歌っていいですか?』
って伺ったら『どんどんやってください』って言ってくださって。
今日は『エルビス・オン・ステージ』のような衣装で来ました」
・当日いさおさんの首に掛けられていた青いスカーフは、ハワイでエルヴィスのそっくりさんにもらったものだとか。
・中川さん「ささきいさお様、今日も世界で一番脚が長いです!」
観客笑。
・宙明先生といえば印象的なスキャット。
いさおさん「次に歌う『超神ビビューン』もイントロに入ってますね。今日はコーラスのみなさんにすごく手伝っていただきます。
      普段、こういうコーラスはされないと思うんですがよろしくお願いします」

19:斗え!! 超神ビビューン (1C)/ささきいさお
-MC-
20:ジャッカー電撃隊/ささきいさお
-MC-
21:いつか、花は咲くだろう/ささきいさお
-MC-


特撮「超神ビビューン」よりオープニング。ビビューンを思わせる真っ赤な照明の中、
いさおさんはコーラスの皆さんに一礼されビシッと歌われました。
続いても特撮からトランプマークの「ジャッカー電撃隊」オープニング。前奏のドラムにティンパニが重なる迫力や、
所謂Bメロでの生の弦楽器など、オーケストラ演奏ならではの見所聞所満載でした。
いさおさんのソロコーナー最後は同じく特撮「ジャッカー電撃隊」よりエンディング。渋く勇ましく締めくくられました。

・ここで再び堀江さんが登場され、「進め! ゴレンジャー」レコーディングの時のお話。
堀江さん「初めてのデュエット、しかも有名なささきいさおさんがお相手なので、とても緊張していたんです。
でも当日扁桃腺が腫れてしまって痛くて。怒られたらどうしようと思いながら正直に言ったんですね。
     そうしたら『ようし、なら早くOKを出そう』って言って下さったんですよ」
観客拍手。
いさおさん「あの頃はやさしかったんだよ。独身だったし」
観客笑。
・いさおさん「当時はミッチも初々しい、いや、初々しいよりも前の高校生でしたね。それからン十年経ちましたけど」
観客笑。
堀江さん「でもしょこたんを除けば最年少ですから」
観客笑。

22:進め! ゴレンジャー/ささきいさお 堀江美都子

特撮「秘密戦隊ゴレンジャー」よりオープニング。今もなお続く「スーパー戦隊」シリーズの始まりを告げたのも宙明先生の曲でした。
いさおさんと堀江さんは抜群のコンビネーションで観客を大いに沸かせられました。

●永井豪先生ビデオメッセージ
-MC-


中川さんの案内でこの日の翌日がアニメ「マジンガーZ」の放送開始から丁度50年という節目である事がアナウンスされ、
ステージ奥のスクリーンに原作者である永井豪先生からのビデオメッセージが流されました。
さらに会場に先生が来場されているとアナウンスされると、観客から驚きの唸り声と拍手が送られました。

中川さん「次は50周年をお祝いする『マジンガーZ』主題歌を映像と合わせた生演奏でお届けします。
     そしてそのまま組曲『マジンガーZ』でコンサートを締めくくります!」

23:マジンガーZ
24:組曲「マジンガーZ」
-MC-


後方スクリーンにアニメ「マジンガーZ」のオープニング映像が流れはじめ、
ホバーパイルダーがマジンガーZの頭部にパイルダーオンすると共にオーケストラの生演奏へ。
そして組曲「マジンガーZ」は機械獣の進撃を思わせる不穏なパートが続き、
スクリーンに宙明先生が指揮棒を振りはじめるお姿と共に満を持して「Zのテーマ」が演奏されると、
客席の空気がざわめくのを感じました。そのままスクリーンには宙明先生の様々なお写真や映像が流されていました。

・中川さんが名前を挙げられると出演者の皆さんが登場され観客から拍手が送られました。
・今回出演予定だった水木一郎さんは本当にギリギリまで体調を調整をされていたものの、
ドクターストップがかかってしまい、残念ながら出演を見合わせる事に。
俊幸先生「水木一郎さんは今回、父の作った歌を歌う事を本当に楽しみに、
     そしてご来場のみなさんはその歌を楽しみにされていたと思いますが、
ドクターストップがかかってしまったという事で、どうかご理解いただきたいと思います」
・そして俊幸先生が水木さんからのメッセージを代読されました。
メッセージはお決まりの「ゼェェット!」で締められ、観客を和ませていました。
・俊幸先生「最後は水木一郎さんと一緒に歌うはずだった『マジンガーZ』を出演者の皆さんと歌いたいと思います」

25:マジンガーZ/堀江美都子 ささきいさお 串田アキラ 中川翔子

コンサートを締めくくるのは宙明先生が初めて作られたアニメ主題歌、「マジンガーZ」オープニング。
水木さんがいらっしゃらない寂しさを噛みしめつつも、出演者の皆さんはもちろん、
コーラスの皆さんの中にも振り付けをされる方がいらっしゃり、
ステージ全体で観客を盛り上げ、観客も手拍子で応えていました。

・俊幸先生「今日はこんなに沢山の皆さんに集まっていただき、父はとても喜んでいると思います。
私は霊魂不滅を信じていますので、きっと父は私の隣か、客席のどこかにいて、
     このコンサートを笑顔で楽しんでいると思っています。
このような良いコンサートができたのも皆さんのおかげです。本当にありがとうございます」
観客拍手。

・ここでアンコールが無い代わりに写真撮影大会。
出演者のみなさんが客席の左、中央、右と向かれる中、多くの観客がその様子を写真に収めていました。
・俊幸先生がゲストミュージシャンのみなさんをひとりづつ、そしてコーラス、オーケストラのみなさんをご紹介。
・そして俊幸先生から感謝の言葉があり、大きな拍手の中、出演者の皆さんが退場されました。

閉演BGM:マジンガーZ

拍手が続く中、出演者の皆さんが退場されると「マジンガーZ」と共に閉演アナウンスが流れる中、
規制退場は設けられず観客がそれぞれ退場していき「渡辺宙明 追悼コンサート」は終演となりました。


宙明先生が手がけられてきた歌唱曲を中心にした今回のコンサート。
過去のコンサートで披露された事があったり、歌手の皆様の代表作ともいえる楽曲群に加え、
「心のオネスティー」「超惑星戦斗母艦ダイレオン」「キュア・アクション」「戦え!! イクサー1」
「ハートフル ホットライン」「斗え!! 超神ビビューン」など
なかなかオーケストラでは聞く事が出来ない楽曲も多く披露された印象がありました。
今回新たに俊幸先生がアレンジされた楽曲は宙明先生の特徴的なサウンドに
俊幸先生ならではの弦楽器を基調としたものになっており、原曲とはまた違った魅力でした
また歌唱曲だけではなく「宇宙刑事ギャバン」「マジンガーZ」の劇中音楽も演奏されたのも嬉しく。
スクリーンに映し出された宙明先生指揮による「ゴーゴー・キカイダー」と「Zのテーマ」には目頭が熱くなりました。
今回披露されたのは半世紀以上に及ぶ宙明先生の作曲家生活のほんの一部である事を考えると
改めて宙明先生が成されてきた偉業を身をもって体感する心地の伝説的なコンサートでした。

宙明先生ありがとうございました。


補足

・入り口付近には漫画家の永井豪先生、作曲家の田中公平先生、俊幸先生と親交が深いさだまさしさんなど
各界の関係者の方々からのお花が展示されていました。

・ロビー奥の展示スペースには、 先生が日本で最初に購入された中のお一人である
モーグ・シンセサイザーの実物を筆頭に、直筆の楽譜、各種トロフィーなどの他、
手がけられた作品の台本やレコード、CD、おもちゃ、各作品の台本や寄せ書き色紙、
コンサートでの記念写真などが展示され、どれも写真撮影が可能でした。

・俊幸先生「『心のオネスティー』は生前、父が私のアレンジで堀江さんに歌って欲しいと言っていたんですよ」
堀江さん「先生が『ボクはね「サザエさん」とか「心のオネスティー」みたいなバラードがとても好きなんですよ。
     あの歌は良かったですねー。いい歌でした。是非歌ってほしいですね』とおっしゃっていました」

・串田さん「宙明先生が『強さは愛だ』に関して『歌詞がいいんですよ。歌詞がいいとイイ曲が書けます』とおっしゃっていて、
     特にお好きだったというのが『倒れたら立ち上がり 前よりも強くなれ』だったそうです。
     『ヒーローの秘めたやさしさ』を表現するのが大切だとお話してくれましたね」

・オーケストラは聞こえている音の正体を視覚で確認できるのが醍醐味。
今回も聞き慣れたあの音やこの音の主を知ることができました。

・いさおさん「本当は超神ビビューンの他にも超神ズシーン、超神バシャーンと3人いるんですが、
      長くなってしまうのと歌詞を覚えるのが大変なので今回は割愛します。次からはちゃんとやります」
観客笑。

・いさおさん「『ゴレンジャー』はとてもヒットして、番組も2年やりました。印税もドンと入ってきました」
観客笑。
いさおさん「当時は貧乏だったのでとても助かりました。宙明先生のおかげです」

・いさおさん「この前、古い映画を見ていたら聞いたことあるような曲が流れていて、音楽を見たら渡辺先生だったんですね」
俊幸先生「そうですね。昔はかなり映画の音楽を作っていましたね」
いさおさん「菊池(俊輔)先生もそうですけど、アニメの曲を作っている方はそれ以前に映画の曲を作られている方が多いですね」
俊幸先生「父は最初にアニメや特撮の曲を依頼されはじめた頃は『なんだ、こどもの曲か』と思ったみたいですが、
それをずっと作り続けて、こんなにたくさんの皆さんに愛されて。晩年は『本当にやってきて良かった』と言っていました」
いさおさん「僕も最初はアニメ……その頃はそんな言葉ではなく"テレビまんが"って呼んでましたけど、
      『こどもの番組の歌か……』って思いましたけど、曲を聞くと凄く良くて。そこからどっぷりのめりこみましたね」

・今回のコンサート公式twitterの投稿によりますと、水木さんにドクターストップがかかったのは
コンサート上演中である19時だそうで、会場でギリギリまで調整されていた事が伺えました。

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