2025.04.01
「千晶と騒がNight」「ボイジャーソングライブ」追加
渡辺宙明卆寿記念コンサートVol.3 ~卆寿シリーズファイナルコンサート~
16.5.15 新宿文化センター大ホール
監修・作曲/渡辺宙明
構成・編集/堀井友徳
ゲスト/串田アキラ 堀江美都子 水木一郎 (発表順)
プレトークゲスト/大葉健二 渡洋史
司会/小林淳
プレトーク司会/ムトウユージ
指揮/松井慶太
コンサートマスター/三宅政弘
合唱/渡辺宙明卆寿記念合唱団
演奏/オーケストラ・トリプティーク
ファンから宙明先生(ちゅうめいせんせい)という愛称で呼ばれて親しまれている作曲家・渡辺宙明先生。
ラジオドラマの音楽から作曲家としてのキャリアをスタートされ、主に映画音楽を中心に手がけられていましたが、
1972年にアニメ「マジンガーZ」、特撮「人造人間キカイダー」の音楽を手がけられた事をきっかけに、
現在に至るまで数多くのアニメ、特撮の音楽を手がけられてきました。
先生の作られる楽曲は「宙明節(ちゅうめいぶし)」と呼ばれ、高揚感を誘う中にも哀愁を感じるドラマチックな独特の旋律と、
様々な音楽、楽器を積極的に取り入れられている姿勢には国内外で多くのファンがいます。
そんな宙明先生が2015年に90歳の卆寿を迎えられた事を記念してアニメ、特撮の劇中音楽を、
オリジナル当時と同じ楽器編成で演奏された「渡辺宙明卆寿記念コンサート」が開催され、大反響を得ました。
その後、本年の3月には第二弾「ブラスサウンドの魅力」が開催。文字通り宙明先生のブラスサウンドをたっぷり堪能できただけでなく、
水木一郎さん、成田賢さん、串田アキラさん、MoJoさんという錚々たる歌手の方々が歌を披露され、大いに盛り上がりました。
今回は「渡辺宙明卆寿記念コンサート」の締めくくり第三弾「卆寿シリーズファイナルコンサート」です。
コンサートの性質上、今回のレポートはざっくりとした内容でございます。予めご了承頂けましたら幸いです。
会場は新宿にある新宿文化センターの大ホール。
広がりのある落ち着いたホールで、ステージの向かって右側には今回の目玉であるパイプオルガンが天井へ向けてそびえ立っていました。
会場にはアニメ、特撮の関係者の方も多く来場されている様子でした。
来場者には今回のプログラムが細かく解説されていたり、ゲストの方々のプロフィール、
前回のコンサートの写真が掲載されたパンフレットが配布されました。
●プレトーク
開場から10分ほど経つとアニメ「クレヨンしんちゃん」等の監督を務められているムトウユージさんを司会に
特撮「宇宙刑事ギャバン」ギャバン/一乗寺烈、特撮「バトルフィーバーJ」バトルケニア/曙四郎などを演じられた大葉健二さん、
特撮「宇宙刑事シャリバン」シャリバン/伊賀電、特撮「時空戦士スピルバン」スピルバン/城洋介などを演じられた渡洋史さんが登壇され
コンサートの開演前にプレトークが設けられました。
・ムトウさんの呼びかけで観客の「ギャバン! シャリバン!」の掛け声で大葉さん、渡さんを呼び込みました。
・大葉さん、渡さん共ムトウさんの私物であるレーザーブレードを片手にご登場。
・お二人の初めて宙明先生の音楽を聞いた時の思い出。
・渡さん「30数年ぶりに言いたいと思うんですけど……ギャバン隊長、どうしたんですか、その頭?」
観客笑。
コンサート当時の大葉さんの髪は金髪でした。
大葉さん「……若さってなんだ!?」
観客笑。
大葉さん「イメチェンです」
・ムトウさんの私物「アクション仮面のレンジャーキー」
ムトウさん「これを持っているのは僕とゴーカイイエローだけです」
観客「ぉぉぉおお」
ムトウさん「本当はこれを使ってお二人を呼び込みたかったんですけど忘れました。見せびらかしたかっただけです」
観客笑。
・ラストにムトウさんからのリクエストで大葉さんがギャバンの蒸着、渡さんがシャリバンの赤射を披露され観客大沸。
拍手の中、大葉さん、渡さん、ムトウさんがご退場されプレトークは終了となりました。
しばらくするとブザーが鳴り、開演にあたってのアナウンスが流れると、オーケストラ・トリプティークの皆さん、
渡辺宙明卆寿記念合唱団の皆さんがステージに登場され、最後に指揮の松井慶太さんがご登場。
オーケストラの皆さんの準備が整った事が確認されると
「渡辺宙明卆寿記念コンサートVol.3 ~卆寿シリーズファイナルコンサート~」開演です。
01:秘密戦隊ゴレンジャー (2C)
-MC-
1曲目はこの年に40シリーズを数えた特撮、スーパー戦隊シリーズの1作目「秘密戦隊ゴレンジャー」よりエンディングからスタート。
わくわくする演奏と合唱団の皆さんが「バンバラバンバンバン」の独特のスキャットをされる様子は圧巻でした。
司会の小林淳さんがご登場。ご挨拶とオーケストラ、合唱団の皆さんを改めて紹介され、
上演にあたっての諸注意のアナウンスの後、これからの演目を紹介されました。
02:「バトルフィーバーJ」組曲
パート1「M-1-1 (序奏)」~「M-1-3 (メインテーマ)」
パート2「M-7-1 (緊迫)」~「M-2-2 (バトルシャーク出撃)」
パート3「M-4-2 (明るい若者たち)」~「M-5-2 (招集)」~「M-5-4 (サスペンス)」
パート4「M-4-3 (栄光)」
パート5「M-3-3 (エゴスの行動開始)」~「M-6-3 (追跡)」~「M-8-3 (決闘、対決、立ち回り)」
パート6ダンシングソルジャーズ「M-10-1 (バトル各々のテーマ)」~「M-10-2 (メインテーマエンディング)」
03:「機動刑事ジバン」組曲
パート1「C-1 (悪の怒り)」~「C-4 (悪の陰謀)」~「E-4 (怪物出現)」~「A-9 (変身前のアクション)」
パート2「E-6 (ショック)」~「A-1 (アクション)」~「A-5 (走り、戦い)」~「D-7 (怒り)」
パート3「B-7 (危機)」~「B-2 (敵の襲撃)」~「A-6 (走り、戦い)」~「A-2 (アクション)」
パート4「D-1 (平和)」
-MC-
最初の組曲は特撮「バトルフィーバー」より。世界各国のダンスを取り入れた作品だけに、音楽も躍動感を覚える印象。
特に各国の民俗楽器の演奏は軽快で素敵。原曲のティンパニの「ドゥン」は生音で体感するとちょいとした感動でした。
野性味を感じる曲調や、ジャズ風、ディスコ風など、一作の中でのバラエティの豊かさに先生の表現の幅広さを感じました。
続いては特撮「機動刑事ジバン」組曲。先生の楽曲は諸般の事情で作中ではあまり流れなかったそうですが、今回はたっぷり。
不穏な雰囲気の楽曲から都会的な弦楽器と打楽器の旋律になり、先生独特の意匠を感じる節回しへと劇的に展開。
「バトルフィーバー」から20年後、80年代後半の作品なので、当時の流行の電子ドラムが沢山登場していたのが印象的でした。
ここで司会の小林さんに呼びこまれ、オーケストラや合唱団の皆さんに礼をしながらゲストの水木さんがご登場。
04:おれはグレートマジンガー (1C)/水木一郎
-MC-
05:マジンガーZ (1C)/水木一郎
-MC-
アニメ「おれはグレートマジンガー」よりオープニングを合唱団の皆さんと共に歌われました。
オーケストラでの演奏とオリジナル版とグレイテストヒッツ版をミックスしたアレンジはとても新鮮でした。
そして宙明先生と水木さんの初タッグの楽曲であり、お二人の代表曲のひとつであるアニメ「マジンガーZ」よりオープニング。
水木さんの軽快な歌いぶりとパワフルで迫力ある演奏に電子ドラムも加わり、迫力満点でした。
小林さん「『鋼鉄ジーグ』からインスパイされたイタリアの映画『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』が
イタリアのアカデミー賞とも呼べるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で多くノミネートされました。
今回、宙明先生たっての希望で水木さんには『鋼鉄ジーグのうた』を歌っていただきます」
水木さん「現地でもいろいろなアーティストがカバーしているみたいでとても嬉しいですね。僕もいつかイタリアで歌いたいです」
06:鋼鉄ジーグのうた (1C)/水木一郎
続いてはイタリアで大評判の為、急遽演目に加えられたというアニメ「鋼鉄ジーグ」よりオープニング。
イントロからガツンと響く管楽器の生演奏と、水木さんの颯爽とした歌声と合唱団の皆さんの厚みのある合いの手がたまりませんでした。
~休憩~
07:「宇宙刑事シャリバン」組曲
パート1「B-1 (浮かぶ幻夢城)」~「A-1 (宇宙刑事シャリバン)」
パート2「F-1 (悪のテーマ)」
パート3「B-4 (悪意の超能力)」~「B-6 (危機)」~「A-6 (苦戦)」
パート4「C-1 (オートバイの伊賀電)」~「C-6 (愛のテーマ)」
パート5「F-2 (危機)」~「A-5 (乱闘)」~「A-8 (空中戦)」~「A-6 (巨大メカ出動)」
パート6「B-6 (巨大タンク)」~「B-1 (敵の襲撃)」~「B-2 (レーザーブレード)」~「A-2 (強さは愛だ)」
-MC-
ここで約15分間の休憩をはさんで後半へ。後半は特撮「宇宙刑事シャリバン」組曲から。
今回の目玉パイプオルガンの生演奏によるパート2「F-1 (悪のテーマ)」は雰囲気をがらりと変えインパクト抜群でした。
ミステリアスな中に颯爽とした楽曲群は、さながら「シャリバン」の本編を丸々一話見ているようなドラマチックさでした。
08:宇宙刑事シャリバン (1C)/串田アキラ
09:強さは愛だ (1C)/串田アキラ
-MC-
ここで司会の小林さんに呼びこまれ、串田アキラさんがご登場され「シャリバン」のオープニングとエンディングを披露。
串田さんの歌声はオーケストラの演奏と合わさってとてもパワフルで、バンドスタイルとはまた違った魅力を感じました。
また「シャリバン」では赤射のポーズを、「強さは愛だ」ではシャリバンの名乗りをされてから歌われ、
串田さんのパフォーマンスのストイックさに改めて脱帽いたしました。
串田さん「宙明先生とは35年以上のお付き合いになるんですけど、沢山曲を書いてもらいました。
今もお元気でいてくださるのはとても嬉しいです。どんどん作曲してください! 新曲もヨロシク」
観客笑。
10:「神魂合体ゴーダンナー!!」組曲
パート1「神魂合体ゴーダンナー!!」~「A-8 (戦闘、壮大)」
パート2「B-8 (怪しく不気味)」~「B-7 (迫りくる恐怖)」~「B-4 (強敵現る)」~「B-6 (危機)」
パート3「E-2 (ミラの哀愁)」
パート4「B-4 (敵の襲撃 破壊)」~「B-2 (敵の襲撃)」~「A-11 (激戦)」
パート5「A-9 (戦闘 (悲愴))」
11:「宇宙刑事シャイダー」組曲
パート1「C-4 (荘厳)」
パート2「不思議ソング」
パート3「D-1 (サブタイトル)」~「B-4 (敵迫る)」~「B-15 (悪女たちの踊り)」~「B-5 (敵の決断)」~「A-13 (高速メカ)」
パート4「B-15 '(不思議時空発生)」~「A-5 (乱闘)」~「B-2 (敵の攻撃)」~「E-2 (焼結)」
パート5「B-1 (敵の襲撃)」~「B-3 (レーザーブレード)」~「A-12 (ロボへ変形)」
パート6「C-6 (愛、希望)」~「A-4 (ハロー! シャイダー)」~「B-2 (レーザーブレード)」~「A-2 (強さは愛だ)」
串田さんが見送られ、つづいてはアニメ「神魂合体ゴーダンナー!!」組曲。
「ゴーダンナー」のオリジナルではギター以外はシンセサイザーによる打ち込みだったそうですが、
今回は全編オーケストラの生演奏という、今回だけのプレミアムな試み。
これまでの先生の作品へのオマージュを交えながらも、一層深みのある楽曲づくしで聞き応えたっぷりでした。
組曲の最後を飾るのは特撮「宇宙刑事シャイダー」組曲。「ギャバン」「シャリバン」と続く宇宙刑事シリーズの意匠を踏襲しながら、
どこか明るく颯爽とした楽曲が多い印象でした。特筆したいのは合唱団の皆さんを交えての「不思議ソング」。
あの独特の不思議な雰囲気をそのまま生演奏で体感できるという機会に恵まれた事はとても嬉しうございました。
登場された小林さんの紹介で、拍手の中、堀江美都子さんがご登場。
12:サザエさんのうた (1C)/堀江美都子
13:あかるいサザエさん (1C)/堀江美都子
-MC-
堀江さんが歌われたのは関東圏での再放送版アニメ「まんが名作劇場 サザエさん」より初代オープニングとエンディング。
二曲とも音がはじまった途端にオリジナルそのままの音での生演奏で、耳を疑うほどの衝撃でした。
堀江さんのやらわかくはつらつとした歌声もオーケストラと見事に合わさっていて、聞いていて放送当時にもどったような心地でした。
堀江さん「宙明先生、卆寿おめでとうございます! わたしも先生のようにいつまでもお元気でいられるように
先生が推奨されている健康法『お肉食べる。卵食べる』を実践して、元気で現役で歌っていきたいと思います!」
14:秘密戦隊ゴレンジャー (1C)/観客
15:強さは愛だ (1C)/観客
堀江さんが見送られ、客席でご覧になっていた宙明先生が満を持してご登壇。
締めくくりは宙明先生の指揮のもと、観客が大合唱するコーナー。
今回は「秘密戦隊ゴレンジャー」と「強さは愛だ」と、それぞれエンディング曲というのもラストにぴったり。
「秘密戦隊ゴレンジャー」は合唱団の皆さんも一緒に「バンバラバンバンバン」とスキャットをされていました。
続く「強さは愛だ」はラストであり、ファンの間でも人気の高い曲だけに、観客の合唱も力が入っているようでした。
●記念撮影
ここで宙明先生とゲストの堀江さん、水木さん、串田さん、司会の小林さん、
プレトークゲストの大葉さん、渡さん、司会のムトウさんが登場され、観客も自由に撮影する事が出来るフォトセッション。
水木さんの「ゼェエエッ」の号令で出演者が二階席のオフィシャルカメラに向けてポーズをとる場面もありました。
フォトセッションが終了すると、拍手の中、宙明先生をはじめ出演者の皆さんが退場され、
「渡辺宙明卆寿記念コンサートVol.3 ~卆寿シリーズファイナルコンサート~」は終演となりました。
「渡辺宙明卆寿記念コンサート」のフィナーレを飾る今回は、過去の二回を合わせたような集大成という趣き。
オーケストラの魅力とブラスの迫力をたっぷり堪能しながら、ゲストの皆さんの歌声で彩も加えられつつ、
バラエティ豊かな打楽器やパイプオルガンの演奏など、作品ごとに様々な色合いを見せる宙明先生の楽曲を味わう事が出来ました。
三回のコンサートに足を運んだ事で、これまで宙明先生が作られてきた楽曲の奥深さを感じながら、
90歳を迎えられてもなお創作意欲が衰えずにいる宙明先生のお姿には感嘆しきりでした。
宙明先生、90歳おめでとうございます。
補足
・組曲内の演奏曲に関しましては配布された冊子を参考にさせていただきました。
・ロビーにはささきいさおさんや宙明先生のファンクラブの皆さんからお花が届いていました。
・渡さん「シャリバンクラァアアアッシュ!!」
・蒸着を披露される際に持っていたレーザーブレードをことさら恭しく置いたり、
蒸着中にコミカルな声を出すなどひょうきんな大葉さん。
・「グレートマジンガー」を歌い終った直後の水木さん。
水木さん「マジンガァアアっ ゼェッ!!」
観客拍手。
水木さん「あ、失礼しました。すぐ歌じゃなくて喋る場面でした」
観客笑。
・記念撮影で再登場されたムトウさんは「マジンガーZ」の主人公・兜甲児君がかぶっているヘルメットを着用されていました。
・水木さん「『マジンガーZ』を歌わせていただいて40数年。今年も新曲を先生に書いていただきました。
これからもその若さと元気で。お肉と卵を食べて……」
観客笑。
宙明先生「野菜もね」
水木さん「お肉と卵と野菜を食べていつまでもお元気でいてくださいね!」
・フォトセッションで水木さんを筆頭にみなさんが「Z」のポーズをとられるなか、
串田さんと大葉さんは「蒸着」、渡さんは「赤射」のポーズ。
・フォトセッションではオーケストラのパーカッションのみなさんも
楽器を掲げられたり、自撮り棒を使われたりわりと自由にポージング。
・宙明先生「私も長年やってきた甲斐がありますね。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!」
・出演者の皆さんが退場された後、堀江さんと共に宙明先生が再びご登場。
観客へ向けて深々と頭を下げられた様子に観客から割れんばかりの拍手が贈られていました。