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堀江美都子プライベートライブ2022 夜の部
22.7.17 東京・ミュージックレストラン ラドンナ原宿

出演/堀江美都子

演奏/G.松尾洋一 Ba.吉岡満則 Key.中村智美 Per.早川誠一郎
コーラス/KAKO♪ 松尾洋一 吉岡満則



アニメソングを専門に歌う歌手としてアニメ「キャンディ・キャンディ」オープニングを代表格に
日本のアニメ黎明期から現在に至るまで、数多くの楽曲を歌い続けられている堀江美都子さん。
その長年の功績と業界を牽引し続けられている姿勢から"アニメソング界の女王"と呼ばれる堀江さんが
2000年代頃からほぼ一年に一回のペースで開催されているのが「堀江美都子プライベートライブ」。

ライブハウスでのライブとは趣が異なり、観客にはスマートカジュアルというドレスコードがしかれ、
食事を楽しんだ後に堀江さんがご自身が歌われたアニメソングはもちろん、オリジナルソングや
様々な楽曲のカバーをアコースティック編成で披露され、大人な雰囲気で展開されるのが特長です。

2020年以降、世界規模で蔓延し続けている新型コロナウイルスの影響で
しばらくの間休止されていましたが、2022年、満を持しての開催となりました。
当方、今回初めてプライベートライブに足を運びました。
昼の部、夜の部と開催されたうち、今回は昼の部のレポートです。

会場は東京の原宿の表参道から一本入った所にあるミュージックレストラン ラドンナ原宿。
食事をしながら多彩なアーティストの方々のステージが開催されている本会場は、
堀江さんのプライベートライブのメイン会場として長年愛されているそうです。

ライブが開催された当時も新型コロナウイルスの影響は続いており、
東京の感染者数もこれまでのピークから数えて第7波にあたる程に再び増加中。
感染予防対策として入場者にはマスクの着用、検温と手先の消毒が義務付けられており、
各テーブルにはアクリル板が設置されていました。

階段で地下にある会場へ降り、手続きをすませて入場すると
落ち着いた印象で大人の雰囲気を感じる会場内には椅子とテーブルがセッティングされており、
後方はソファー席になっておりましたが、今回はチケット完売という事で全席満員でした。

ステージ上は各楽器や堀江さん用のマイクスタンドや譜面台、水置きテーブルなどが準備されており、
ステージ左右の壁面にはモニターが設置され、ショー上演中はステージの模様が映し出されていました。
開演までの間に観客有志から他の観客にサイリウムが配布。
堀江さんへのサプライズとして頃合いを見て使用してほしい旨が伝えられました。

●お食事

ショーが上演される前にまずは観客は食事に舌鼓。
ディナーはコース料理で、ドリンク、前菜、パン、メイン、デザート、コーヒーが給仕。
どの料理もたいへん美味しく、穏やかに食事を楽しませていただきました。

観客の食事が一通り済み、当初のショー上演予定時間から少し過ぎた頃になると
間もなく上演開始である事とそれまで食事用の椅子配置からショー用の配置への向き転換を促す
アナウンスが行われ、観客が椅子をステージへ向け、しばらくした所で客席が暗くなっていきました。

拍手の中、ステージ上に演奏陣の皆さん、コーラスのKAKO♪さんが登場されてそれぞれの位置についた後、
堀江さんがご登場。椅子に座られて準備が整うといよいよショーの上演開始です。

01:なんでもないや(movie ver.)/堀江美都子
02:星間飛行/堀江美都子
-MC-


まずは堀江さんのデビュー50周年を記念して発表されたカバーアルバム「One Voice」から。
映画「君の名は」より「なんでもないや(movie ver.)」では堀江さんの柔らかな歌声が会場を包み
ショーのオープニングからとても穏やかな心地になりました。
続いてアニメ「マクロスF」および劇場版「マクロスF 恋離飛翼 ~サヨナラノツバサ~」より「星間飛行」。
どこか大人っぽさを感じる堀江さんの歌声とゆったりとしたアレンジが聞いていてとても心地よく。

・堀江さん「3年ぶりの『プライベートライブ』です。昼夜とありましたので、中には二度食事された方も……」
観客笑。
堀江さん「昼の部はコースのメインはお魚でしたけど、夜の部は、もう皆さんコーヒーを楽しまれて。
     ……いいなぁ……」
観客笑。
・昼の部は堀江さんのお知り合いや生徒さんもご来場。スマートカジュアルなので印象が変わる。
・歌声は精密機械。コロナ禍で歌っていない時期があるとやはり声が出なくなるのでメンテナンスが必要。

03:風の少女/堀江美都子
-MC-


続いてはデビュー40周年を迎えられた際に歌われたアニメ「風の少女エミリー」よりオープニング。
長年多くのヒロイン達を歌で応援されてきた堀江さんならではの魅力が凝縮された本曲は、
今回の様なアコースティック編成になるとその歌いぶりをより一層堪能することが出来ました。

・堀江さん「みなさんも一つの歌で好きな箇所ってあると思うんです。歌詞とかメロディとか。
     あたしにもどの曲にも好きな部分があって、そういう所ってね、上手く歌えるんですよね」
・「風の少女」で堀江さんが好きなのは二番のサビ部分。
・堀江さん「アニメソングって一番は作品を紹介するダイジェストという意味合いが強いんですけど、
     大事なメッセージは二番に入っている事が多いんで、気持ちがぐっと入ってくるんです」
・堀江さん「こんな状況でも海外のアニメイベントにみんな行ってるんですよね。
     この間はJAM Projectがサウジアラビアに入ったでしょ? その前はささきいさおさんとアニキも行ったし。
     アニキなんか現地の方の衣装とか着ちゃってね。あの人はどこの衣装も似合うわよねー」

04:シンドバットのぼうけん/堀江美都子
-MC-
05:DREAM OF YOU/堀江美都子
-MC-


海外の話題からクウェート国で人気いうアニメ「アラビアンナイト シンドバットの冒険」よりオープニング。
冒頭の「アラビアンナイト!」は堀江さん、続く「シンドバットの冒険!」はKAKO♪さんがご担当。
堀江さんは弾むような歌声をご披露。観客も手拍子をしながら曲の後半には合いの手的に手を叩いていました。
続いてはアニメ「藤子不二雄劇場」より、ご自身が歌いながら泣いてしまいそうになるというエンディング。
優しさを感じながらもどこかせつなげな堀江さんの歌声に身を揺らせながら聞き入っていました。

・ここで演奏陣の皆さんが退場され、堀江さんお一人に。
・スタッフさんによってマイクスタンドや譜面が片付けられ、
堀江さんにKAKO♪さんがオレンジ色のレイを付けられていました。

・ハワイの伝統的な舞踊「フラ」を約25年間続けられている堀江さん。
最も注力されていた頃はハワイの大会にも出場され、仕事にフラにと大忙しだったとか。
近年はお休みされていたそうですが、コロナ禍もあり再開されたとの事。
・今一緒にフラを習っている人生の先輩たちの素晴らしさ。

06:Aloha O'ahu (アロハ・オワフ)
~Manu O'o (マヌ・オーオー)
~Lei Kakuhihewa (レイ・カクヒヘヴァ)/フラ:堀江美都子


ここで堀江さんがフラをご披露。
ハワイミュージックの伝説的人物というRobert Cazimero(ロバート・カジメロ)さんによる
「羽根」を共通項にしたハワイミュージックのメドレーに乗せて踊られ、
手先のしなやかさと繊細さや、穏やかながらもステージを大きく移動される脚運びが印象的でした。

・堀江さんに拍手が贈られる中、演奏陣とKAKO♪さんが再びステージにご登場。
・続いてはプライベートライブ恒例になっているというカバーソング。
カバー曲に関しては毎回洋楽邦楽問わず様々な楽曲を披露されているそうで、
ご自身が歌に対する勉強として歌われる意味合いもあるそうです。

07:Heal The World (ヒール・ザ・ワールド)/堀江美都子
-MC-


今回カバーされたのはMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)さんの「Heal The World」。
堀江さんは様々な思いと願いを込めて選曲されたという事で包容力たっぷりに歌われ、
1番は日本語訳で2番は英語詞で歌われ、最後のサビは混合で披露されていました。

・コロナ禍で歌えなくなった時期のお話。
・堀江さん「声帯は一度も壊したことないし変わってないんですよ。
     あたしぐらいの歳の人でこんなマンガみたいな声の人いるのかな?」
観客笑。
堀江さん「めっちゃマンガだし、アニメだし。珍しいから自分で自分を研究してるんですよ」

08:Lonely Dreamer/堀江美都子
-MC-
09:Myself/堀江美都子
-MC-


続いてのブロックは堀江さんのオリジナル楽曲コーナー。
今回はご自身の7枚目のオリジナルアルバム「IN MY HEART」からの選曲にたまたまなってしまったとか。
「Lonely Dreamer」ではどこか物憂げな曲調をしなやかな歌声で歌われてぐっと大人な雰囲気になり、
続く「Myself」では曲調ががらりと変わって軽快なシティポップ調。堀江さんの歌声がとても伸びやか。
パーカッションの早川誠一郎さんは「Myself」がお好きだそうで、演奏しながら片腕を高く掲げられていました。

・アルバム「IN MY HEART」の思い出。
堀江さん「あの頃ツッパってたからねあたしも。カワイイっていわれるとムッとしたりして」
観客笑。
堀江さん「若い時ってそういうのあるんですよね。カワイイだけじゃないのよって。
     今だったカワイイって言われたらめっちゃ嬉しいじゃないっすか。もっと言って―って」
観客拍手。
堀江さん「贅沢なもんですよねー。若い頃は自分一人でなんでも出来ると思ってたんでしょうね。
     でもやっぱり色んな人に助けられ、支えてもらってるんですよね」
・今回のプライベートライブのテーマは「ありがとうと感謝」

・今回の演奏陣の皆さんをそれぞれとのエピソードを交えつつ、お一人ずつご紹介。
・ギターの松尾洋一さんとは30年以上のお付き合い。お互い若かった。
・早川さんは「Myself」で魅せた片腕を高く掲げるパフォーマンス。堀江さんの「サザエさん」も好き。
・ベースの吉岡さんは若いのにベテランの風格。体の細さに感心する堀江さん。
・そして吉岡さんも早川さんの片腕を高く掲げるパフォーマンスをまねる。
・コーラスのKAKO♪さんも25年の長い付き合い。同じく片腕を高く掲げる。
・堀江さん「あたしにとってそのポーズは『サタデー・ナイト・フィーバー』ジョン・トラボルタだよ:
・キーボードの中村智美さんも20年来の付き合い。中村さんは両手を掲げるスタイル。


・カバーアルバム「One Voice」は最後のアルバムになっても良いという思いで制作。
・堀江さん「カバー曲を歌う場合はオリジナルの人がどんな思いで、どんな息づかいで歌っているか、
     それを自分が体現したらどうなるだろうかという事を思いながら歌っています」
・最初歌えなかった曲も歌っていくうちに自分の中に入ってくる。

10:炎のたからもの/堀江美都子
-MC-
11:オー! リバル/堀江美都子
-MC-


カバーアルバム「One Voice」から映画「ルパン三世 カリオストロの城」よりオープニング。
異国所緒漂うアレンジを堀江さんが静かにしっとりと歌われた後、椅子から立ってマイクを手に持たれ
「『One Voice』の中でも盛り上がる曲」と紹介されて歌われたのは、映画「名探偵コナン 業火の向日葵」よりエンディング。
松尾さんの情熱的なギターソロに合わせ堀江さんが圧巻の歌い出しをされ、一斉に演奏がはじまると
観客がラテンの様なテンポの速い手拍子で一斉に盛り上げて曲が始まっていく光景は圧巻。
その後も楽曲の盛り上がりに合わせ吉岡さんやKAKO♪さんの合図で手拍子が早まったり遅くなったりと
堀江さんの歌に合わせ観客も楽曲に参加し、会場全体になって本編のラストにぴったりの一幕でした。

~アンコール~
-MC-


観客の拍手の中、堀江さんが退場され、続いて演奏陣とKAKO♪さんが退場されると
拍手がアンコールを表す手拍子に変わっていき、しばらくすると堀江さんがご登場。
客席から花束がいくつか贈られ、一つ一つを受け取られていました。

・ここで堀江さんから今後のライブの予定についてご案内。
・プライベートライブはお食事の他にお土産付きなのでここでお土産のご紹介。
どんなお土産だったかは来場者だけのお楽しみ。
・演奏陣、KAKO♪さんも合流され、それぞれの場所でスタンバイ。

・堀江さん「次の曲が作られたのは東日本大震災の後、『ドラえもん』からのメッセージとして作られました。
     この曲も二番が好きですね。冒頭の箇所がね。なんか今、優しい子が生きにくいと思うんです。
     色々なものがありすぎて自分の好きなものがわからなくなってしまいそうだし。
     それでもいいんだよ、ゆっくりでもいいから見つけていけばいいんだよと思って歌っています」

12:キミのひかり/堀江美都子

アンコールは映画「ドラえもん のび太と奇跡の島 ~アニマル アドベンチャー~」より「キミのひかり」。
ここで開演前に観客有志が配布したサイリウムを多くの観客が灯し、客席に色とりどりの光が。
観客によるサイリウムの光を受けた堀江さんの優しい歌声が会場全体を包み込んでいき、
とてもやわらかで優しい心地の中、プライベートライブを締めくくられました。

-MC-

観客から拍手が贈られる中、堀江さん、演奏陣の皆さん、KAKO♪さんが退場されましたが、
再び拍手が手拍子に変わっていき、しばらくすると堀江さんがお一人でご登場。

堀江さん「おかげさまで3年ぶりにプライベートライブを行う事が出来ました。
     これからも色々情勢は変わっていき色々な形でライブが開催されて行くと思いますが、
     あたしも体調を整えて少しでも長くこれからも頑張っていきたいと思います。
    『ありがとうと感謝』の気持ちを込めて、今日は本当にありがとうございました」

深々と頭を下げられた堀江さんに大きな拍手が贈られ、堀江さんが退場されると
客席の照明が明るくなり「堀江美都子プライベートライブ2022」夜の部は終演となりました。

今回、初めて足を運んだ堀江さんのプライベートライブ。
美味しいお食事を堪能した後に、素敵なショーが上演されるというスタイルは
よく足を運ぶライブとはまた違った趣でとても魅力的に感じました。
堀江さんによるアニメソングはもちろん、オリジナル曲やカバー曲、さらにフラまでと、
ゆったりとした空間でじっくりと堪能することが出来て癒されっぱなし。ありがとうと感謝でした。


補足

・会場への階段から入り口にかけてには日本コロムビアや水木一郎さん、Saliaさんなど
各方面からの祝花が展示され、グッズコーナーも設けられていました。

・会場内外には今回のライブに関するデジタルアンケートのQRコードが印刷された紙が貼られていました。

・ステージ開演までの間は壁面のモニターにBGVとして映画「紅の豚」が音無し字幕有りで上映。

・BGMは映画「スティング」のテーマ曲にもなった「The Entertainer」など映画音楽が流れていました。

・「星間飛行」の「キラッ」はアルバムでは堀江さんご自身が担当されていますが、今回はKAKO♪さんがご担当されていました。

・実はライブの配信が苦手な堀江さん。
堀江さん「アレ、4Kとか8Kとかって嫌だよねー。人間に8Kとかやめて欲しいー。アップとか」
観客笑。
堀江さん「自然とか動物ならね、いいけど。人間で8Kとか20代までにしてほしいです」

・この年、2022年にアニメ「アラビアンナイト シンドバットの冒険」47周年記念として
クウェートをはじめ中東のファン向けに堀江さんやキャラクターデザイナーの関修一さん、
アートディレクターの吉原一輔さんのインタビュー特別映像がYouTubeで公開。
インタビュー収録時のリモートインタビューに今どきぶりを感じて感心されたとか。

・当日はタツノコプロの初代社長である故・吉田竜夫さんのご息女吉田すずかさんもご来場。
堀江さんは吉田竜夫さんとも吉田すずかさんとも縁深く、お二人の思い出をお話されました。

・レイは堀江さんの自作。一番最初に作られたとか。

・「Lonely Dreamer」「Myself」では松尾さんと吉岡さんがコーラスに参加されていました。

・中村さんは堀江さんがプロデュースしていたライブ「アニソン女子部」の初期からの付き合い。

・女子部のバンドメンバーオーディションの時の思い出。
当時ほぼ初対面だったサイキックラバーのギターIMAJOさんのフレンドリーさに驚く堀江さん。

・堀江さん「バンドも女性ばかりにしたかったのに、なぜかJOEがいたんですよ」

・今回のライブや水木さん、影山さんとのライブ「アニソンBIG3」を主催している
アオイスタジオのスタッフさんが良い人ばかりなので心配になる堀江さん。

・美空ひばりさんと同じクセをご自身の中に見つけられた堀江さん。
堀江さん「ステージの上って乾燥してるんですけど、ひばりさんもあたしも唇をなめるんです。
     キレイに大きく口を開ける時にこうやって。ひばりさんも同じだったんです。やったー」

・ライブ前に水木さんから贈られた祝花の前で水木さんに向けてお礼の動画を撮影した堀江さん。
動画を送ったらすぐに返信が来てビックリされたそうです。

・堀江さん「歌は自分を伝えるものだし、生徒さんにもよく話すんですよ。
     最初言葉しかなかったところに気持ちを伝えたくてメロディがついたんだと思うんです。
     だから自分も出来るだけ長く続けられたらいいなあって思ってるんです」

・終演後、出口で堀江さんが観客一人一人にお土産を手渡しされお見送りしてくださいました。

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